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ところが、ゆっくり考えるのを許さなかったのが周りの方で。学校に着くと、クラスメイトの立川がわざわざ下駄箱で待ち構えていた。
「小林、お前、めっちゃ面白いことになってんぞ」
早くしろと俺を教室まで急き立てる。
「なんだよ、面白いことって」
「良いから、良いから」
立川が教室のドアをガラリと開ける。いつもよりも教室内が騒がしい。
「小林来たぞー!」
「あ、小林くん、これ本当なの!?」
平井さんが目をキラキラさせながら、黒板を指さす。
黒板の前には人だかりができていて、座席についているのは、佐藤を含め数人しかいない。
黒板の周りのクラスメイトたちが、ばっと振り返った。なんだかコントみたいだ。
その拍子に、隙間から何か文字と写真が見える。
えーっと。『清水光紀と小林颯斗はできている!? 塾帰りには毎日デート。』
下の写真には、俺と光紀がファーストフード店でだべっているところ。
「はああああ!?」
俺のすっとんきょうな声に、すぐ隣にいた立川が耳をふさいだ。
「あり得ない、あり得ない! あるわけないだろ! っていうか、こんなのみんなやってるじゃん。友達とファーストフード店くらい行くだろ!?」
なぜ、言えばいうほど、みんなが生暖かい目になっていくのか。
「やっぱり、そうだよねえ」
「ただねえ」
「小林くんと清水くんだったからあ」
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