恋するバツゲーム

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「光紀……、ちゃんと説明しろよ」 「だいたいわかるように会話してたつもりなんだけどなあ」  いやに説明調だったのはそのせいなのか。 「佐藤はさ、歩美の幼馴染なんだ。学校ではあんまり絡まないけど、仲良いんだよ」 俺とテスト勝負したことも、佐藤への告白を罰ゲームにしたのも、光紀との熱愛疑惑をでっち上げたのも、デートプランを俺に提示して来たのも。 「ぜーんぶ、俺があいつにテスト勝負で負けてやらされたこと」  カラクリが見えてくる。  俺と佐藤のこのバツゲームのカラクリが。 「あ、土曜日は俺、佐藤の相談にのってただけだから。あいつ、映画見るってだけでガチガチだったんだからな」  それを偶然立川が見て、俺に電話して来た。 「立川も突っ走るタイプだからなあ。でも、お前がそのあと電話に出ないのが悪いんだぞ。立川、俺のせいだって昨日めっちゃ落ち込んでたんだからな」  まあ、と光紀が笑いながら続ける。 「佐藤の落ち込みようの方がすごかったけどな」 「……光紀は、佐藤と仲良いのか?」  光紀が俺の質問を聞いて、肩を叩く。 「なんだ、なんだ嫉妬かあ?」 「早く答えろ」  声を低くして促すと肩をすくめた。     
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