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今頃、罪悪感が胸を襲ってくる。
本当にこれで良かったのか。
光紀との熱愛疑惑は本当に勘弁願いたいが、それでも、佐藤を巻き込んで良い理由にはならないはずだ。
ちらりちらりと、時おり佐藤を確認しながら昼休みまで過ごした。
移動教室だとか体育だとかで、あの後は一度も話していない。
お昼のチャイムと同時に皆が駆け出していく。食堂も売店も競争率が激しい。おばちゃん特製のカツカレー大盛りデザート付きは数に限りがあるから、なおさらだ。
「小林くん、行ける?」
時間きっかりに佐藤が俺の席まで来る。
俺はというと、前の授業の教科書やらノートやらをぎゅうぎゅうの引き出しに押し込んでいて。また、来てもらってしまった。
「う、うん、行ける、行ける!」
少しはみ出しているが、まあ良い。
カバンから財布を取り出して、すでに歩き始めていた佐藤を追いかける。
一緒に行く気があるのかないのかよくわからない。
「さ、佐藤!」
「はい?」
彼女が振り向く。メガネの奥の瞳が鋭くて、一瞬躊躇してしまう。
なんで、俺の告白を受け入れたのか、なんて。
聞いてどうする!?
「あ、い、いつも何食べるの?」
結局、違う質問をしてしまう。
「カツカレーの裏メニュー、が多いかな」
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