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え! と思わず大きな声をあげてしまう。
「何それ! 裏メニューとかあるわけ!? てか、なんで佐藤が知ってんの?」
聞くところまで聞いて、みんながざわっと振り向くのがわかった。
佐藤が軽く俺を睨みつける。
やべえ。そうだよね。内緒だよね。
「ごめん」
「まあ、良いよ。聞かれたら適当に濁しておくから」
佐藤がふっと笑う。
その笑顔にときめきを覚え……られれば良かったんだけど、なんだかとっても怖い笑顔だった。
食堂について、佐藤は食券を買わずにポケットから何かの紙を取り出した。俺はいつものA定食大盛りを頼む。
「いつものやつお願いします」
お金も払わずに、その紙をおばちゃんに渡す。
ちらっとその紙を見て、「あいよ!」とおばちゃんが威勢の良い声をあげた。
「今日も一段と良い感じに仕上げておいたからね」
「ありがとうございます」
なんだ、なんだ。なんなんだ。
「そっちの生徒さんはなんだい?」
「あ、これお願いします」
慌てて、食券をおばちゃんに渡す。
「はい、A定食いっちょ!」
すぐさま、A定食が出て来る。今日は、生姜焼きにナスの味噌漬けだ。ご飯とお味噌汁はいつもついている。
「なあ、それ、裏メニューなの?」
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