恋するバツゲーム

9/43
前へ
/43ページ
次へ
 え! と思わず大きな声をあげてしまう。 「何それ! 裏メニューとかあるわけ!? てか、なんで佐藤が知ってんの?」  聞くところまで聞いて、みんながざわっと振り向くのがわかった。  佐藤が軽く俺を睨みつける。  やべえ。そうだよね。内緒だよね。 「ごめん」 「まあ、良いよ。聞かれたら適当に濁しておくから」  佐藤がふっと笑う。  その笑顔にときめきを覚え……られれば良かったんだけど、なんだかとっても怖い笑顔だった。  食堂について、佐藤は食券を買わずにポケットから何かの紙を取り出した。俺はいつものA定食大盛りを頼む。 「いつものやつお願いします」  お金も払わずに、その紙をおばちゃんに渡す。  ちらっとその紙を見て、「あいよ!」とおばちゃんが威勢の良い声をあげた。 「今日も一段と良い感じに仕上げておいたからね」 「ありがとうございます」  なんだ、なんだ。なんなんだ。 「そっちの生徒さんはなんだい?」 「あ、これお願いします」  慌てて、食券をおばちゃんに渡す。 「はい、A定食いっちょ!」  すぐさま、A定食が出て来る。今日は、生姜焼きにナスの味噌漬けだ。ご飯とお味噌汁はいつもついている。 「なあ、それ、裏メニューなの?」     
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加