恋するバツゲーム

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恋するバツゲーム

 イヤだイヤだと言っていたら、光紀にデコピンされた。 「颯斗、男らしくないぞ。お前が塾のテストで負けたら何でもやるって言ったんだろ」  塾の帰りのファーストフード店。光紀がコーラを飲みながら、咎めるような口調で言う。 「んなこと言ってもさあ。違うのにしない? 好きでもないやつにバツゲームで告るとか性格悪くね?」   ハンバーガーのピクルスを抜きながら、なんとかお願いしてみる。俺が勝ったら好きなゲームを買ってやるというから、ほいほい勝負してしまったのだ。光紀がそんな胸くそ悪いバツゲームを提案してくるとも思っていなかったし。 「どうしちゃったんだよ。お前、そんなやつじゃないじゃん」  告る相手は、クラス1の地味な女子、佐藤奈美子。今時、おさげでメガネとか、漫画にしか出てこないやつ。それでいて、薄い顔をしているし、なかなか話したりしないから、影では、面白おかしく地味子と呼ばれている。佐藤がうちのクラスには複数人いるから、別の呼び方があった方が便利だというのもある。俺としては、ある意味目立ってるじゃん、と思うんだけど。     
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