31人が本棚に入れています
本棚に追加
恋するバツゲーム
イヤだイヤだと言っていたら、光紀にデコピンされた。
「颯斗、男らしくないぞ。お前が塾のテストで負けたら何でもやるって言ったんだろ」
塾の帰りのファーストフード店。光紀がコーラを飲みながら、咎めるような口調で言う。
「んなこと言ってもさあ。違うのにしない? 好きでもないやつにバツゲームで告るとか性格悪くね?」
ハンバーガーのピクルスを抜きながら、なんとかお願いしてみる。俺が勝ったら好きなゲームを買ってやるというから、ほいほい勝負してしまったのだ。光紀がそんな胸くそ悪いバツゲームを提案してくるとも思っていなかったし。
「どうしちゃったんだよ。お前、そんなやつじゃないじゃん」
告る相手は、クラス1の地味な女子、佐藤奈美子。今時、おさげでメガネとか、漫画にしか出てこないやつ。それでいて、薄い顔をしているし、なかなか話したりしないから、影では、面白おかしく地味子と呼ばれている。佐藤がうちのクラスには複数人いるから、別の呼び方があった方が便利だというのもある。俺としては、ある意味目立ってるじゃん、と思うんだけど。
最初のコメントを投稿しよう!