昼間、雲が流れて

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今回の旅において、一つの目的というか、意義がある。というより、そもそも一つということはないのだけど、ついでに、あることが気になったので、それをしてもらうことにした。 何が、ということを尋ねられれば、彼女の運転が、ということになる。もったいぶる理由も不明なので、最終的に言ってしまえば、彼女は免許をとって初めて、親族以外を車に乗せて運転する、ということになる。 残念ながら、車を買うほどのお金を彼女は持っていなかったので、レンタカーでの旅となるわけだが、彼女はそれでも構わないと言った。僕が介入できる話でもなかったので、深入りもしていない。 「この車って、癖があったりする?」 「少し、初動が遅いかも。ブレーキもよく利くから、初心者向けと言えば、言えるかな」 言われなくても分かるでしょ、と言いたげな表情で、彼女は僕に話したが、正直なところ分かる気がしなかった。理由はいくつかあるが、端的に言えば、講習所で習いたての「丁寧さ」が、出過ぎている、ということである。料理を全くと言っていいほど作っていない子どもが、調理実習の時に、やたら丁寧に作って、時間ばかりかかる、みたいなものである。 だから、特段、問題という問題はないのだけど、逆に、安全すぎるぐらいなのだけれど、僕から見てて、それはじれったかった。 まあ、理由が理由とあって「運転、変わろうか?」と言う気にもなれなかった。なので、彼女が運転する 車に乗り続けなければいけないのだけど、そうなると、スマホの地図アプリをみる限り、今日行こうと思い、予定していた場所を一つ減らさなければいけなくなりそうに感じた。
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