88人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
ーー上司の神崎課長と打ち合わせに出向いた帰り、
急に空が暗くなったかと思ったら、パラパラと雨が降り出してきた。
「神崎課長、雨です!」
まだ気づいていないらしい課長に声をかけると、
「ああ、雨か?」
と、空を見上げた。
その一瞬の隙をついて、一気にザーッと雨足が強くなる。
「…濡れますよ! 課長!」
雨粒を顔に受けながら、悠長に空を仰いだままの課長に、雨宿りを促すと、
「……いいじゃないか、もう少しこのままでも…」
そう呟かれて、驚いてその顔を見る。
……と、向こうもこちらを見ていて、
ふと視線が、かち合った……。
最初のコメントを投稿しよう!