軽自動車開発

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騒めきが止まらない会議室を出ると外で、真里が待っている。 真里は微笑みながら言った。 「健二さん、私の上司がお部屋に来るようにと・・」 「真里さん、君は?」 健二の問いを無視して、真里が続ける。 「早く行って、山下副社長がお待ちよ」 山下副社長の部屋に入ると、ソファに座るように促された。 健二が腰を降ろすと、山下が前に座る。 「ありがとう。君のお陰で、我が社は重大なコンプライアンス違反を未然に防ぐ事が出来た。感謝している」 山下は、微笑みながら言った。 「開発PEDの件も、是非、受けて欲しい」 健二は光栄に思いながらも自分の考えを山下に告げた。 「山下さん、開発PEDは実質、車両開発のトップです。それを私の様な外部の、また若輩者にお任せになるのはリスクが高いと思います。何故私に?」 山下は頷きながら言った。 「君のチーム設計を見たが、あれは素晴らしい。久しぶりに技術者の血が騒いだよ。私は根っからのエンジニアだ。だから君の実力を高く評価している。PEDは技術で語る仕事だ。是非、我が社の若い技術者に、君のノウハウを伝えて欲しい」 健二は、山下の想いに感謝しながら、決心をしていた。これは技術者冥利に尽きるオファーだ。 「山下さん、お受けさせて下さい。頑張ります。」 山下が大きく頷いた。 「ところで、君は、真里君と付き合っているんだって。流石だね。あの娘を落とすなんて。仕事ができる男は、手も速いということか・・ 」 山下が大きな声で笑った。 健二はバツが悪そうに頭を掻いた。
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