軽自動車開発

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「そうです、コストは台あたり3千円、投資はこの形状は金型の追加が必要ですので、左右で1.2億円。でも、他の目標値は全て満足しました」 健二は、少し考えて、頷きながら言った。 「高松君、これで充分だ。明日、長谷川PEDに報告して、承認をもらうよ。遅くまで本当にありがとう。今日は、帰宅してくれ」 高松は、嬉しそうに頷いた。 「分かりました。高橋さんも早く帰ってくださいね」 そう言って、高松は、荷物をまとめて席を立った。 健二は、その後、高松のCADデータを使って、PEDに報告する資料をまとめた。 結局、徹夜になってしまった。 翌日、長谷川PEDのオフィースに朝10時に向かった。 これでやっと全ての開発が終了できると、健二は大きな期待を抱いていた。 しかし・・ 「高橋君、これはリジェクトだ。採用しない」 健二の説明の後、長谷川は、さも当たり前の様に言った。 「長谷川さん、何故です。ここまで適切な設計構造は他に無いと思います。全ての設計指標を満足しています」 長谷川は首を振る 「コストと投資の上昇は軽自動車の開発では容認出来ない。なので、これは採用しない」 健二は詰め寄る。 「既に、開発完了会議まで2週間です。追加の設計検討、シュミレーションを廻している時間はありません。これの採用をもう一度ご検討ください」 長谷川は、首を振って、健二にある資料を手渡す。     
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