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「なんで…
なんで、こんなタイミングなんだよ…!?
だいたいなんで死んだんだ!!
自殺だったりしたら承知しねぇぞ!」
親父の魂は、やれやれといった風に溜め息を吐き出すと、いきり立つ俺の目の前に腰をおろした。
「実際、そう望んださ。
いや、逆にそうだったら、またお前に殴られてたな。
死因はな…心臓発作だよ。原因不明ってやつだ。
俺も年甲斐なく働きすぎたんだろうな。
だからお前の心配する事は何にもない。安心したろう?」
そう言った親父は寂しげな笑みを向けながら、ささくれだった節だらけの右手で、俺の頭を乱暴に撫でた。
違う…
こんなタイミングなんか望んでねぇよ!
涙なんか流してたまるかっ!!
目頭に込み上げてくる熱い塊を強引に拳で凪ぎ払いながら、俺は闇雲に声を荒げた。
「じゃあ俺は…
俺はどうすればいいんだよ!?
『生きてるあんたに会いにきた』俺はこれからどうすればいいんだよ!!
これじゃ俺は、死んでからも行き場が無いじゃねぇか!!」
声にならない声を張り上げる俺の頭上に乗せられていた掌が
怒気を流すように、背中へと滑り落ちていく。
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