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目に映る景色の中に、とりあえず行きたい場所はあった。
難なく浮遊できるあたり、この体の扱いにもどうやらもう慣れたらしい。
昔よく遊んだ小山の天辺から見下ろす代わり映えのない街並みは、つまらないほど空虚で
俺の存在なんて元々無かったみたいに冷たく感じた。
そう思ってしまうと妙に寂しくて、俺は無意識に声を上げて笑った。
そういえば誰だかの家で読んだ本に書いてあったっけか。
『この世とは魂の修練場であり
魂とは「巡る」存在で
いつか、あの世へ還る日の為に「生き続ける」存在なのである。』
とかなんとか、そんな内容だったと思う。
魂の定義、精神世界。スピリチュアルだったっけか。
不確かで目に見えない世界と小馬鹿にしたもんだが
今間違いなく、俺はその不確かな世界に存在しているんだ。
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