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「大丈夫だから。原因は熱中症じゃないし。えーと、ちょっと暑かっただけで、具合は全然悪くない」
「本当に?」
まだ赤い顔の悠太を、沙紀はいぶかしむ。
「大丈夫だから! ほら、早く何を買うか選ぼう!」
そう言って、悠太は沙紀の横を通って、店の奥に入っていった。
「まあ、元気はあるようだし、大丈夫かな……?」
沙紀も悠太を追って、店の中を歩く。
悠太はレジの横にあるアイスケースの前に立っていた。
アイスを買うことは、ここに来る前から決まっていた。
アイスケースを覗く悠太の隣に、沙紀と同じセーラー服の少女と学ランを着た少年がいる。
「あれ? 美和ちゃん?」
沙紀が名前を呼ぶと、少女が振り返った。
「あ、沙紀ちゃん。偶然~!」
美和が沙紀に手を振り、沙紀も手を振り返す。
「沙紀ちゃんもアイスを買いに来たの?」
「そうそう。もう外めっちゃ暑いよね~」
「ホントにねぇ」
「で、美和ちゃんはもしかして?」
沙紀は美和の隣に立つ少年を、チラリと見る。
「エヘヘ。デート中です」
美和が頬を赤らめながらはにかむ。
「美和。これでいい?」
アイスケースからアイスを取り出した少年が、それを美和に見せる。
それは、半分に割って二人で食べるタイプのアイスだった。
「うん。いいよ」
美和は財布を出して、少年にお金を渡す。
「じゃあ、買ってくる」
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