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少年も財布を出して、レジに向かった。
「ラブラブだねぇ~」
沙紀はニヤニヤしながら美和を見る。
「もう。からかわないでよ~」
困った顔をしつつも、美和はまんざらでもない顔をしていた。
しばらく二人で笑いながら会話をしていると、そこへ少年が帰ってきた。
アイスの袋はすでに開けられ、二つに割られたアイスが美和に渡される。
「じゃあ、また明日」
「うん。また学校でね~」
沙紀は手を振って美和と別れた。
そのまま悠太の隣に行って、アイスケースの中を見る。
「はぁ~。羨ましいなぁ~」
「……何が?」
アイスケースに視線を落としながら、悠太が沙紀に聞く。
「彼氏とアイス半分こっていいなぁって思って。中学に入ったらさぁ、急に付き合う人たちが増えて来てさぁ」
沙紀は一つため息を落とす。
「何かみんな急に大人っぽくなっちゃったんだよねぇ。」
クラスでも何組かカップルが出来上がっている。
男の子と話すぐらいなら沙紀もするが、それが彼氏となるとなんだか雰囲気が違うのだ。
付き合っている二人が会話を始めると甘い空気が流れだし、何故か沙紀までそわそわむずむずしてくる。
そして、その空気感が、沙紀と変わらぬはずのクラスメイトたちが、大人への階段を、先に一つ上がったのだと沙紀に知らしめるのだ。
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