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「少し前までは、美和ちゃんと早く彼氏欲しいねって話してたのに、美和ちゃんも彼氏出来ちゃったし……」
「……沙紀ちゃんも彼氏欲しいの?」
「もちろん欲しいよ~」
悠太の質問に、沙紀は即答で返した。
「……好きな人がいるの?」
「えっ、好きな人?」
悠太の次の質問に沙紀は驚いて悠太を見るが、悠太は下を見てアイスを選んでいて顔は見えない。
悠太と初めてする恋愛話に、沙紀は少しドキドキし始めた。
「いるの?」
答えない沙紀に、悠太が催促する。
「い、いないけど……」
「そうなんだ」
そう言ったあと、悠太は何も返さず、黙っている。
いつもは気にならない沈黙が、今日はやけに落ち着かなくて、沙紀は自分から悠太に喋りかけた。
「ゆ、悠ちゃんはどうなのよ。好きな人いるの? って、あ!」
ここまで聞いて、沙紀は悠太に彼女がいるのか知らないことに気が付いた。
よく悠太と一緒にいる沙紀は、悠太に彼女が出来たようなそぶりがなかったので、勝手にいないものと思い込んでいた。
「そうだよ。好きな人の前にまずは彼女だよ。彼女。悠ちゃんは付き合っている人はいるの?」
悠太は答えてくれず、まただんまり。
沙紀がそわそわし始めたところで、悠太がじっと沙紀を見つめてきた。
「な、何? 悠ちゃん……」
「……気になる?」
表情の読めない顔で、悠太が訪ねてくる。
「え……?」
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