ショタナジミ!

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 振り向かずに、悠太は沙紀を引いたままずんずん進む。  悠太が腕を掴んでいたので転ばずにすんだが、足をもつれさせた原因は悠太にある。 「危ないじゃない!」  沙紀は怒って腕を引き返したが、悠太はしっかり掴んで離そうとせずに、そのまま店を出た。 「もう! 何なの! 私はまだアイスを買ってないのに」  やっと沙紀の腕を解放した悠太は、手に持っていたアイスの包装をバリッと開け、中身を取り出した。  それは、半分にするタイプのチューブ型アイスだった。  悠太はそのアイスを分けて、一つを沙紀に差し出した。 「え……?」  わけが分からない沙紀は戸惑うばかりだったが、悠太との長い付き合いゆえに、すんなりとそのアイスを受け取る。 「……どういうこと?」  頭の中にクエスチョンばかりが浮かぶ沙紀は、悠太と手元のアイスを交互に見ながら悠太を窺う。 「半分のアイスの相手は俺にして」  悠太は沙紀を真っ直ぐに見つめながら、そう答えた。 「悠ちゃん……?」  いつもと違う命令口調の悠太の顔は、少しばかり赤い。  そこでようやく沙紀は理解した。 「なんだ。悠ちゃんも半分にするアイスが食べたかったんだ」 「は?」 「これ美味しいよね。チューブ型アイスのコーヒー味」
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