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チューブのフタを掴んでちぎり取り、沙紀はさっそくアイスに吸い付く。
「うーん! 最高!」
一大決心して伝えた気持ちが全く分かってもらえず唖然とする悠太は、ただ沙紀を眺めるしかなかった。
「これシャクシャクして、ふんわり感じるコーヒー味が美味しいのに、二本で売ってるから一人だとなかなか手が出せないんだよね。値段的には他のアイスと変わらないから二本食べられてお得感はあるんだけど、外にいる時に一人で食べるにはなんだか食いしん坊感が出ちゃって恥ずかしくてさ」
ニコニコと語りだす沙紀の勢いは止まらない。
「誰か誘うにしても相手にだって好みがあるから毎回お願いするのも気が引けるし、その点、悠ちゃんと私なら昔からチューペットを半分にして食べてた仲だし、そんなに気兼ねしないで半分に出来るよね。値段も半分になっておこづかい的にも優しいのが嬉しい。あ、このアイスのお金がまだだった」
財布から半分の金額を取り出した沙紀は、アイスを口にくわえながら悠太の手を掴んで渡した。
「はい半分」
悠太はそのお金を見つめたまま、ただ黙っている。
「どうしたの悠ちゃん? アイス溶けちゃうよ?」
きょとんとした顔の沙紀を見て、悠太はいきなり頭をかきむしり、盛大にため息を吐いた。
そして、沙紀に飽きれ顔を向けた。
「沙紀ちゃん……。いや、沙紀はまだまだ子供なんだ……」
「え?」
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