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「何か、変だぞ」
ケントはエミリの問いかけを無視してそう呟く。それを聞いてか聞かずかグランは黙って頷く。グランの額から汗が一粒たらりと床に落ちた。
「うぐおおぉぉぉぉぉぉお!」
アーサーが再びそう叫んだ瞬間、目の色が赤に変わった。赤い目をしたアーサーは叫びながらホーリートライデントを激しく振り回してくる。
「危ない!」
ケントはエミリをかばうように抱え込み、地面へと転がり込む。2人は間一髪、槍の餌食になるのを逃れた。
アーサーの次の矛先はグラン。ホーリートライデントを構えて一直線に突進してくる。 グランは槍を払ってかわすが、アーサーは追撃の手を緩めない。アーサーは態勢を立て直して再びグランを突き刺そうとする。グランはその一撃をかろうじてかわす。そのとき、アーサーの槍の先端は壁にめり込んだ。
「やむを得ん。エミリ、今だ!」
「うん、お兄ちゃん」
エミリはケントにそう答えると、アーサーの背中に向かってステッキを構える。そして
「ロックスタン!」
と、大声で叫んだ。杖の先から魔法陣が飛び出してケントの背中に直撃する。
「うっ!」
アーサーがうめき声をあげる。そしてその瞬間つま先から頭まで灰色の石がアーサーを覆いかぶせていった。
アーサーは、石になった。
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