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「ねぇ、お兄ちゃん、静かすぎてつまんない」
退屈な表情を露わにしているエミリをよそに、ケントは本を捜し続ける。
「呪い呪い……あった」
歩き回ることおよそ30分。ケントは「呪術学・寛解学」のコーナーを見つけ、そうつぶやいた。
「この中にあるのか?探すの大変だぞ?」
グランは身の丈の3倍以上はある本棚を見上げながらそうつぶやいた。
「でも、やるしかないですから」
ケントは片っ端から本を開いていく。
30分経っても、1時間経っても、心当たりになる本が見当たらない。
「ふぅ……」
ケントがため息をついたそのとき、トントンと肩が叩かれる感じがした。振り向くと、フサフサの白髪で眼鏡をかけた年配の男性が立っていた。
「ヨハン先生!」
ケントは高い声でそう年配の男性にそう言う。ヨハンは呪術学の教授であり、ケントもその授業に出席している。ヨハンは声こそ小さいが言い回しなどがとても分かりやすく、多くの学生から慕われている。
「何か、お探しものですか?」
ヨハンはそうケントに問いかける。
「実は、困ったことになりまして……」
ケントは事情を説明した。
「なるほど……」
ヨハンはそう言って右手でクイッとメガネを直した。
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