洗脳形ハーレム

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「次の更新はありません」  桐野満貴(きりのみちたか)は、淡々と宣告を聞いた。 次の仕事探さないとな、としか感想が浮かばない。仕事でミスは犯したことは無い。 とはいえまだ25歳。どうにもならなければ、実家に帰ろう。  帰宅した後、夕食を摂りながら就職情報を検索するが目ぼしいものは無い。 今週中に一件は面接の約束を取り付けようと思いながら就寝。とはいえ、明日明後日にクビを切られるわけではない。  翌朝、出勤しようと玄関扉を開けると、外の景色が変わっていた。 見慣れた廊下ではなく、地下鉄の通路を思わせるタイル張りの歩道が、左右に伸びている。天井に埋め込まれた蛍光灯が周囲を照らしており、視界には不自由しない。 「あ……は?」  満貴は音を立てて扉を閉める。 スマホを取り出すと、圏外と表示されていた。ネットにも繋がらない。 すっかり狼狽した哲夫は、テレビ、PCと確かめるが結果は同じ。 (起動はしている……外に繋がらないのか!)  満貴は着ていたスーツのジャケットを脱いだ。 クローゼットを探している途中、背中が――玄関の反対にあるバルコニーが気になった。 窓には昼の景色が映っている。恐る恐る戸を開け、叫んでみた。 「おーい!」  反応はない。 此処から飛び降りれば出られるだろうか、躊躇われる。 バルコニーから降りる前に、安全かどうか確かめてみたい。  ゴミ箱を漁り、空き缶を手に入れ、バルコニーから放り投げる――景色が遠ざかった。 マンションの外が四角い一枚絵のようになり、周囲は黒い闇に包まれる。空き缶は闇に吸い込まれた。 (危ない危ない…)  満貴は本棚やクロゼットの中を漁り、私物の存在を確かめた。 同人誌やPCゲームが、段ボール箱に突っ込まれている。本棚には全年齢向けの小説や漫画が並ぶ。 失われている物は無い。冷蔵庫の中身も確かめるが、異常なし。  安心した満貴は扉の外、地下通路の探索に向かう事にした。 ショルダーベルト付きビジネスバッグにカロリーメイト2箱と、冷蔵庫から取り出した500ml麦茶をしまう。
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