いちいち顔晒したりしないって

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 不幸にも第一のターゲットと同じ課にいた面々は、目の前の光景が悪夢でないと悟ると、口々に悲鳴を上げて逃げ出した。  海塚支店に警官がやってくる頃、啓介は姿を消していた。 自宅と霜月家の間に広がる空間を経由して瞬間移動、血塗れの姿で海塚市中心部にある1軒のコンビニに出現。 「いやー、運動したからお腹空いた!!店員さん、サンドイッチ頂戴!!」  凍り付いた客と店員を尻目に、啓介は悠々と冷蔵コーナーに向かい、サンドイッチをポケットに突っ込んでいく。 「お、おい。そんな…」  商品補充を行っていた若い店員が見咎め、声を掛ける。 「ちょっと、やめて!!」 「あぁww!!気安く声かけんじゃねぇよ!!」  啓介は猿のように飛び掛かり、右手に持っていた防火斧を一振り。 その顔は怒りではなく、優越感をたっぷりと滲ませた禍々しい笑みで歪んでいる。 「なんだなんだ、気安く見てんじゃねぇよ!!河合啓介様をよォww!!」  啓介……に擬態した満貴は唾を飛ばして、硬直していた客や店員に襲い掛かった。 ただし、逃げる者は追わない。無人になった店舗で、満貴はサンドイッチを下品に頬張り、カップ飲料のミルクティーを飲み干す。  しかも飲み切ることなく、半分ほどで床に投げ捨てた。  十数分後、通報を受けた警官達は、店舗の惨状に息を呑んだ。 通りに面した一面のガラス窓は叩き割られ、血の絨毯が店の前にまで広がっている。 店内で動いているものはただ一人。レジカウンターに尻を乗せている、20台半ばほどの男一人。  この少し前、通信業者のオフィスでもほぼ同様の事件が起こっていた為、かなりの速さで急行できたが、間に合わなかったのだ。 「やっと来た!おっそーいww!」  店内にいた男が警官に気付いた。 啓介はひらりと身を翻し、バックヤードに姿を消す。 警官達が突入した頃には既に姿を消している。啓介の皮を被った満貴は瞬間移動で人で  ごった返す地下街に現れ、通行人を薙ぎ倒していく。 捕まりそうな気配を感じると、また瞬間移動。海塚市中で名乗りながら、満貴は1時間以上凶行を働いた。
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