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「…3体の乳児をモモと逃がしたのは、君の考えなのか?」
首相は穏やかな口調になろうとしているようだが、表情からそれが無理だとわかる。
そして、モモと赤ちゃんの事も知られたのかと思い、モモがいなくなった事を隠す必要がなくなって、少し安心する。
「どこへ逃がしたのかは聞かないよ。彼女と乳児はもう必要がない。私は花菜さえいればいい。研究の為に乳児を使う事は、花菜も気分よくないだろう?これからは、花菜にとって心地いい環境が、我々人類にとっても、心地いい環境なんだ」
首相はその事だけは本当なのだろう、心地いい環境を想像しながら、鼻からゆっくりと息を出していた。
「……では、少し落ち着いてからもう一度ナノマシンを製造する事をどうするか聞きに来るよ。あまり時間はないが、イチゴと話でもしながら考えてくれ。イチゴには有名な臨床心理士のカウンセリング能力もインストールしてある。君の最適な答えを導き出してくれるに違いない」
首相はそう言って、イチへアイコンタクトで指示を出し、足元がふらつくノアを軍人に持ち上げて運ぶように言い、部屋から出ていった。
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