未来

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着替えは探し出すどころか、立ち上がった先に数枚の軍服と白衣がハンガーにかかっていた。 私はイチを視界に入れたまま軍服を取り、自分の分も取ったが、男物の軍服しかなく、裾を折って履いても動きにくそうだったので、避けていた真っ白な白衣を取り、仕方なく白衣の腰に紐を結び、ワンピースとして着替えた。 そして、イチを着替えさせる為に、赤く染まった重たい服をゆっくりと脱がし、傷口に触れないように慎重に着替えさせた。 イチの体には、手足の縫合の跡の他に、まだ最近怪我をしたと思われる縫合の跡や傷がたくさんあった。 ここへ助けに来てくれるまでの間にも、怪我をしたのだろう、まだ血が滲んでいる傷口があり、その処置をする。 …… 部屋の揺れはおさまりかけていたが、ずっと揺れていた事で自分の体がフワフワとしている。 着替えさせたイチの服を整え、もう一度頬を擦るが、イチの頬はまだ冷たいままだった。 …… イチは本当に助かるのだろうか… 私はイチの体を少しでも暖めようと、イチの体に寄り添い、冷たい手を取り、横になった。
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