熱烈な歓迎

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熱烈な歓迎

 王都を出て一日。前日は手前の町に宿を取って、翌朝森への静かな道を馬を並べて進んでいる。 「綺麗な場所だな」  右手には木立に遮られた湖が見えている。秋の陽を受けて湖面を輝かせる光が、透明で美しく見えた。 「この辺は貴族の屋敷が点在している。ほとんどが休暇を過ごす別荘だ」 「妹さんが住んでいるのは、奥のほうなのですね」 「あぁ」  隣を進むファウストの表情も自然と柔らかく穏やかだ。  十一月の二週目、ランバートは以前から約束していた旅行に出た。目的はファウストの妹と会うため。  先の戦いで受けた傷はすっかり良くなり、表面に痕を残すのみ。これは、おそらく消えないだろう。  食事の制限も、運動の制限もかからなくなった本格的に復帰したのは十一月に入ってから。だが、その状態でもファウストはあれ以来求めてはくれなかった。それが少し、寂しく思う。  森の中にある道を三十分程進んだとき、湖畔に屋敷が見え始めた。小ぶりだが使い勝手の良さそうな、どこか可愛らしい屋敷だ。 「あそこだ」  穏やかに言われ、自然ファウストが足並みを早める。それについて、ランバートも馬を走らせた。     
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