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「大智センセー、LINEで繋がろうよぉ」
「学校から、そういうのは禁止されているんだよ」
「えぇー、じゃあインスタとかTwitterはぁ?」
「やっていないなぁ」
「嘘ぉ、つまんなーい」
そうだ。今の亀ちゃんは、実習生とはいえ教師なんだ。生徒の私たちとプライベートの連絡先の交換だなんて、問題になってしまう事はできないんだ。
「綿谷さん、いいね。ポイント、掴めてきた感じだね」
せめてこの補習に真剣に取り組もうと、私は数字に没頭した。
五日間の補習も終わり、亀ちゃんの実習も残り一週間となった。相変わらず、亀ちゃんの周りにはいつもギャルズが群れていて、ほとんど会話も出来なかったある日の放課後。
「綿谷さん」
帰ろうとしていた私に、声を掛けてきたのは亀ちゃんだった。
今日はギャルズはお気に入りのバンドのライブだとかで、早々に下校したのを知っている。廊下にいるのは、私と亀ちゃんの二人きりだった。
「今日の小テスト、満点だったね。がんばったね」
「……ありがとうございます」
「どこか分からないところとか、難しいところはない?」
亀ちゃんにそう聞かれて、私はとっさに尋ねてしまった。
「……亀ちゃんが、私の『先生』なのは、あとどのくらい?」
「え?」
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