カウントダウンで会いたくて

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「ねぇねぇ、大智(だいち)センセって呼んでいい?」 「現役でT工大の理学部って、すごくない?」  亀ちゃんは、クラスのギャル三人衆、真美・那美・くるみに囲まれて質問攻撃にあっていて、入り込む隙がなかった。それにもしかすると亀ちゃんは、偉そうに指導していた私なんかが実習先の生徒にいて、イヤだなって思っているかもしれない。そんな風に考えてしまうと、声をかける機会を失ってしまい、その日は一日が終わってしまった。  それでも、亀ちゃんと二人きりになる機会はすぐにやってきた。不本意にも。 「綿谷さん」  翌日の朝のホームルームのあとに、担任の杉崎女史から呼び止められた。 「例の補習の件なんだけど」 「……げぇっ」  一気に朝から憂鬱な気分になる。中間テストで数学が赤点だった私は、今日の放課後から補習を受けることになっていたのだ。 「亀和田先生にお願いすることにしたから」 「えぇっ!?」 「悪いね、秋季大会間近だし、部員にハッパかけなきゃなんないからさ」     
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