カウントダウンで会いたくて

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「……綿谷さん、俺さ、ちゃんとお礼を言わずにバイトを辞めちゃったのが、ずっと心残りだったんだ」 「びっくりしました。休み明けにいきなりいなくなってたから」 「ちゃんと最初から、バイトは半年って決まっていたんだ。実習もあったしね」 「そうだったんですか? 私の指導が厳しすぎて、イヤになっちゃったのかと」 「そんなワケないよ。綿谷さんの指導のお陰で、こうやって今も実習ができているようなもんなんだから」 「私の?」  もっと二人で話したかったのに、 「あ、もうこんな時間か」  下校をうながすチャイムに、会話を止められてしまった。 「取り敢えず今日は、プリント3枚、いや5枚、宿題ね」 「げぇっ……」  亀ちゃん先生がなかなかにスパルタなのは、やっぱり私の接客指導が、厳しすぎたせいかもしれない。 『伶奈!聞いて聞いて!!』  帰宅した私は、速攻伶奈にLINEを送った。 『どした?』 『亀ちゃん覚えてた! 私のこと!』 『おー、そうかそうか。って、今日二人っきりで補習だったん? ひゅーひゅー』 『なによ、それw』 『だって亀男って、結花の思い人でしょ?』  亀男(かめお)って何っ!? 思い(びと)ってどういう事っ!?     
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