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しかし、あの男――いつの間にか消えていたことにだけは心底驚いた。
多分うっかり太陽の光に当たって強制成仏したのだと思うけど。
それにしては私を封印していた結界のお札が剥がれていたのも驚いた。
お蔭で私はそのままこの家を乗っ取ることに成功し。
でもこの部屋はそのまま売りに出されていて。
だけど幽霊が住んでいる曰く付きの物件に住むような奇特な人間はいなくて。
私は独りで――
「お、今週のジャンプ中々良いの載ってるじゃん」
――堂々とこの部屋の主を満喫中だ。
家賃も食費も何もかも要らないから快適を通り越した素晴らしさだ。
暑いも寒いも感じないこの身体……幽霊と言うのは素晴らしい!
それに夜中にゴミ捨て場を漁ってジャンプを無料で読めるのも良い、良い!
更にはあの男がどうやって手に入れたのか分からないお茶も飲める!
だから私はお茶を飲みながら今週のジャンプを読む……けど。
『バンバンバンッ』――と、私が活動し始める時間になると誰かが窓を叩いてくる。
……ここ“二階”なんだけどなぁ……
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