夏になったらまた会える

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夏になったらまた会える

毎年、この時期になると君は実家に帰って来る。僕は君に会いたいから久しぶりに地元に帰ろうかなと甘い桃なんかをかじりながら考え始める。そんな8月中旬。 昔は頻繁に会っていた君とも今ではもうなかなか会えない。だから、僕はこのチャンスを逃すまいとこの時期は必ず実家で過ごす事にしている。 地元に着くと、僕はなんとなく青空を見上げる。そうすると、君に会いに来たんだなって実感がわく様な気がするから。 準備を整えて、やっと僕は君を迎えに行く。君は数日間だけ帰って来る。炎にゆらゆらと揺られながら、急いでやって来る。でも、僕の心は君に会えて嬉しい様な気持ちと現実を突き付けられて寂しい様な気持ちのもやもやな感情でいっぱいになる。そんな時に君の顔が瞼の裏に浮かぶと晴れやかな気持ちになれる。 数日後、君は帰って行く。ゆっくりとあの青い空に向かって。やっぱり悲しくなるけれど、その気持ちを抑えつつ、僕は君を送り出す。君が帰る場所があの空の向こうだから…だから、僕は空を見上げると君の事を思い出すのかな。 来年もまた必ず会いに来るよ。晴れ渡る青空に君の笑顔を重ねて、僕は毎年そう誓う。
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