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【棚谷 真那 愛沢 宏人 宅内】
ハッとして、飛び起きた。
「あの声は、何だったのかしら?」
まだ朝までには早い時間に目が覚めた
真那は、眠い目をこすり先ほどまで、
聞こえた声の内容を反芻していた。
うろ覚えだが、何となく記憶している
それよりも真那にとって衝撃的だった
のは、声の主より話の内容の方だった
自分が過去にいじめられていたのは
もう十数年も前の話しである。
胸に嫌な重みをズキンと感じる。
あの時のことは、思いだしたくない
だが、今日の夢の中の声のせいで
サァーと海の波が自分に向かって
来るように思いだしてしまったのだ。
顔色が曇る・・・
そんな様子を隣で寝ていた恋人で
ある2歳年上の愛沢 宏人が心配して
見つめていた。
真那は身長こそは低いが、美人系の
顔立ちをしていた。二重まぶたに
整った鼻、小さいが情熱的な感じで
潤いを帯びた唇。
宏人は、そんな真那を見つめながら
声だけかける
「真那ちゃん、大丈夫?」
ハッとして、
「だ、大丈夫!」
「ヒロちゃん、私は大丈夫よ。」
と、返す
「ほんとに?なんだかうなされてたよ」
「大丈夫だから!」
さすがに宏人も、問い詰めなかった
だけど、何か引っかかっていた。
先の真那の表情
暗く曇っていたように感じたが
口もとは笑みを浮かべていたような・・・
気のせいだろうと思い込む事にした
真那は、宏人の視線が気になったのか
すぐに布団にスッと潜り込んで眠る事
にした。
それよりも、あの声は何だったのか?
わざわざ今頃になって思いだしたく
ない過去の記憶が蘇って来て不安に
なってしまった。
あの時に、過去の自分は捨てたはずだ
なぜ、今頃になって・・・
過去の自分を捨てさって
全て忘れていたのに!
そう!自分の人生、見える世界を
変えると決めた日。
なぜ、今頃になって!
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