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【滝山 弘 鮒橋市のある河川】
鮒橋市のある川岸にて、『それ』は
横たわっていた。一見、マネキン人形
に見えた『それ』は、よく目を凝らして
見ると人形ではない事が分かる。
しかも、血まみれの女性だった。
全然、動かない!
いつもの散歩で好んでこの川岸近くの
遊歩道を通っていた70代男性は、
女性の尋常じゃない様子に
慌てふためいて、その場から逃げた
早朝、警察が川岸近くの遊歩道に
集合した。
その場所のにいた全員は同じ事を
思ったに違いない。
朝早くから、呼び出された 滝山 弘 は
眠い目をこすりながら、現場に入った
際、言葉を失いそうになりながら
「これは・・・むごいな・・・」
女性の遺体は、左右の手関節から
綺麗さっぱり無くなっていて、
更に首もとを鋭い刃物でスパっと
切られている跡がある。
顔は余程、恐いめにあったのか
恐怖で歪んだまま硬直していた。
今までたくさんの凄惨な現場をみて
来たが、これ程恐怖に歪んだ顔の遺体
を見た事がなかった。
誰かに殴られたのか、右の頬が黒く
腫れているのも確認できた。
血まみれだったので川岸には
若干の血が流れていたが、幸い川に
まで血が流れていなかった。
「滝山警部、このマンジュウ(遺体の事)
どこかで血抜きでもしたんですかね?」
滝山の部下、勝山 ひさし である。
「ああ、これだけ斬られていれば
相当な出血量のはず。
普通、この辺り血だらけになって
いそうだが、そうじゃないからな。
殺害現場は別の場所だろう。」
もうひとつ不思議なのは、この川岸には
犯人のものと思われる足跡がいっさいなかった
いったい、どうやって遺体をここまで
運んで来たのか・・・
その時、突然、
鑑識のひとりが何かを見つけたらしく
「警部!こっちに来て!これを
見てください!」
そう声をかけられて急ぐふたり
勝山
「これは・・・」
滝山
「うむ、これが凶器か」
それは、巨大な薪割り用の斧だった。
刃先には、乾いた血の色が着いていた。
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