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【昼野 順 鮒橋市リハビリ病院】
事件から3日前、鮒橋市には、小さくて長い川がいくつか走っていた。そんな川のひとつの近くに大きな病院がある。そこはリハビリ専門の病院で毎日様々な人がごった返していた。順は、その日の朝からイライラしていた。職場の病院では、理学療法士として働いているのだが、リハビリ中に老齢の男性患者から、暴言を吐かれていたのだ。
もう、この仕事を何年もやっていたし
このようなトラブルは日常茶飯事だとしても・・・
暴言は何度も吐かれても慣れないなと感じていた。
笑顔で対応するのがやっとだった。
「おまえに俺の何がわかるってんだ!」
と、怒鳴りながら指先で肩をこずかれていた。あたりは皆それぞれが、リハビリに集中しているので、
こちらの事は、全く気にしていない様子だった。
「おい!何か言いやがれ!」
再び、こずかれる
「暴力はやめてください!」と、最初は笑顔で対応していた順の表情も曇り始めた。その瞬間、上司にあたる理学療法士の男が、止めに入る。愛沢 宏人 である。
「もう、この辺で許してもらえないですか」
宏人は、身長が175センチと割と高い方なので、老齢の患者を見下ろす感じになる。
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