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敵のことを知らずに戦い等できるはずがない。
わかりきっている筈の事実だった。それなのにレオニードは今まで気にかけてすらいなかった。
――ッチ
盛大な舌打ちをする以外ここでできる事は無い。
いっそ、地団駄でも踏んでしまいたい気分だったが、この場所でそれをやるわけにはいかなかった。
ここの場所が通常の王宮の様式であるというのであればこれと違う点、そしてレオニードの故郷の様式と同じ部分がこの国のしたレオニードへの配慮なのだろう。
暴虐王が自分に興味が無い事はよくわかった。けれどそれが排斥の気持ちにいつ変わらないとも限らないのだ。
少しでも情報が欲しかった。
レオニードは部屋をすみからすみまで確認をしはじめた。
気になった彫刻があったため、思わず屈む。
その時、部屋の扉を開ける音がした。
「お疲れ様でした。」
声がした、ここに入ってきた人間は二人。それは足音でわかった。
従者は誰もいなかったし、レオニード屈んでいたため室内は不在だと思ったのだろう。
優しげな声に、どうやって先客がいる事を伝えようかと逡巡した。
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