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暴虐王は舌打ちをすると剣を引き抜いた。
その後ろで、ふう、と溜息をもう一人の男がついた。
「殺さないのかい?」
ニコリと笑いながら暴虐王に言う。ギクリと固まると暴虐王は「殺す意味がないだろ。」と返した。
「でも、もう返してはやれないのは分かっているだろう。」
暴虐王はしゃがむようにして腰を降ろした。
のろのろと立ち上がるレオニードと視線が合った。
「何故見ない振りをしなかった?」
平坦な声だ。先ほどの柔らかな声と全く違う、感情のこもらない声だった。
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