嫁入り

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ユーリィも何も持っていない人間で、貴族ですらないということを聞いてレオニードは頭を抱えた。 殿には必要最低限しか人が来ない。 食事や部屋の掃除もされないなんていうことは無かったが、逆に言うとそれだけしかされない。 専属の人間すらいなさそうだ。 誰かにこの国のことを聞くことは難しい。 だから、それからは、二人で兎に角勉強をした。 幸い放っておかれているため時間だけはたくさんあった。 帝国からつけられた人間に本が好きだと嘘をついて儀礼関係の本をユーリィに取りに行かせたりもした。 帝国が各地を占領した所為で共用語とされる公用語が世界には広がっていた。 それをレオニードは軍で習ったことがあったことは幸いした。 宮殿に置かれている本も供用語で書かれているものがかなりあったからだ。 レオニードとしては、やれることはやったつもりだ。 他に方法は無かった。少なくとも今ある知識でレオニードとユーリィにできることはそれしかなかったのだ。 いっそのこと暴虐王様と刺し違える方が楽なんじゃなんて思考になった時期もあったけれど、その場合のユーリィのその後の事を考えるととてもじゃないけれど選択肢には入れられなかった。 連座制が皇帝とその関係者にどう認識されているのかさえレオニードには分からなかった。 男でしかも、自国の王族らしさはまるでない。それだけで不興を買いかねないのだ。 それを帝国側も分かっているらしく妙に同情的に見えた。 それでこちらの準備がしやすいのであればどう思われてもいい。そう思っていなければやっていられなかった。 だから、突然暴虐王から呼び出されたときレオニードはついに来てしまったかという気持ちしか無かった。 これから死罪を伝えられるかもしれない。そういう気持ちだった。
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