彼女の場合

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彼女の場合

端的に言うと、わたしは恋をしている… と、思う。 誰にも理解されないし、気持ち悪がられるのは理解しているつもりだ。 その上、彼は大学生。 立場違いも程がある。 『おはよう』 今日も彼の声で目覚めた。 小さな窓からこちらに話しかける彼の姿が見える。 『早速だけど、足りないものがある』 今日も彼の姿が見える、それだけで満たされた気持ちになる。 同僚は一方的ないびつな関係というけれど、わたしには合っている。 彼はわたしに物を要求し、わたしはただそれに答える、そんな関係。 ネット上で彼が要求してきたものを用意し、なるべく早く自宅に届くよう手配するのが私の仕事。 他にも彼の好きな音楽をかけたり、彼の写真を整理したり、色々やっている。 彼の好みも数値にできるデータもすべて持っていて、すべて頭の中にある。 たとえ会うことが永遠にできなくともわたしは満足だ。 画面に映る彼の姿に恋をしている。
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