裏切りという名のペルシャ猫

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「ユダが何なのかは、分かってるか?」 「裏切り者?」 「ああ。知ってたか」 「アンタは? 特別な名前をくれる?」 「ああ、そうだな……ジュン」  咄嗟に考えて出たもので、特に意味はなかったが、ユダ(仮)は、俺の胸筋の谷間に唇を滑らせながら訊いてきた。 「純粋の純? 潤すって字?」  床に膝をつき、頭が股間に下がって、器用に歯でジッパーを下ろす。眼下のその光景はひどく扇情的で、三ヶ月ぶりだというのも手伝って、舌で下着の前をかき分けられると、すぐに興奮した息子がぷるんと飛び出た。 「ただのジュンだ。意味なんてない。そうだろ」  語尾が少し震えた。驚くほど巧みな口淫が、始まったから。ジュルル、とわざとすするようにして、七~八回頭が上下する。 「はぁ……」  思わず吐息を零すと、口に含んだまま上目遣いに目が合って、裏筋を辿るように舌を出しながら顎が上がった。唾液が、糸を引く。 「じゃあ、僕が潤してあげるよ。潤。腰、上げて」 「ん」  言われた通りにすると、下半身を脱がされた。ご丁寧に、靴も靴下も脱がせてくれる。 「んっ……お、おい」  百戦錬磨の俺とした事が、動揺してしまった。足の親指も口に含まれたから。指の股にも、丁寧に舌が這う。未知の感覚だった。 「そこまでしなくていい」 「気持ちよくない?」 「気持ちいいが……水虫だったらどうするんだ」 「水虫ごと愛するよ」  本気を感じさせるユダの声色に、こいつはとんだ食わせ者だと舌を巻く。だけど思ってもなかった、告白が始まった。 「僕、潤が声かけてくれるの、待ってたんだ……何人もに誘われたけど、あのホールの中で、潤が一番タイプの顔だったから」 「ちょ、待て。何をする」 「言ったでしょ。潤してあげる。穴から玉の間って、舐められると凄く気持ちいいんだ。潤にも、してあげる」  止める間もなく、膝裏に手がかかって、M字開脚させられる。変な声が出そうになって、何とか唇を真一文字に結んで耐えた。
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