136人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「んっ、ユダ……っよせ」
言った通りに舌が何度も往復して、確かに感じた事のない快感だった。だけど……タチのプライドみたいなものが、崩れ落ちていくような気もしてた。
「アッ!?」
ついに、声が裏返った。穴に舌がねじ込まれて。反射的に暴れようとしたが、驚くほど強い力で押さえ付けられる。
くちゅ、ぴちゃ……。いつもは俺が与えてる筈の熱が、俺の下腹を熱くした。
「っは・ンァッ」
自分のテクニックには自信があったが、ユダのいやらしい舌使いにも、翻弄される。ぐりぐりと奥を刺激されると、目が眩んで無意識に瞼を閉じた。ネコが何故『最中』に目を閉じるのか、分かったような気がする。一生分かる筈がないと思っていた感覚。信じられない事に、穴がはくはくとひくついてた。
「充分に潤ったね、潤」
「やめ、やめろッ! 頼む! やめてくれ!!」
思わず懇願していた。だけど叫びも虚しく、ユダの大きな息子が押し入ってくる。
間髪入れず、パンパンと肉のぶつかり合う音を立てて、ピストン運動が始まった。ただのピストンじゃない。前立腺を擦り上げるような、ひどく手慣れた犯行だった。
「ヒンッ・は・あ・アッ!」
「潤。気持ち、い?」
数え切れないほどの男と身体を重ねたが、後ろはまだ処女だった。無理やり奪われる喪失感と、何より奥の方から高まってくる正体不明の切なさに、我知らず涙腺が崩壊する。
「ふぇっ・ヤ・嫌ぁっ! ユダ、ユダ! も、イ・くっ!」
「イってよ。いっぱい出して」
「ふぁ・あ……あ――っ!!」
生理的に、きりりと穴が締まり上がった。
「愛してる、潤……ッ」
直腸が、生暖かい体液に満たされるのが分かる。俺はもう、メスに堕ちてあられもなく嗚咽してた。
「ふっ……う……ヒック」
「潤……可愛い。純粋の純でもあるんだね。僕、アンタの事がホントに好きになっちゃった……」
でも俺は、それどころじゃない。初めての経験に、情けないがただ小刻みにしゃくり上げてた。
「付き合ってください。僕、ミハイル。潤の本当の名前も、教えて」
「っ……嫌だ」
「何で? ……僕の事、嫌い?」
涙で滲む視線を上げると、ミハイルも泣きそうな顔をしてた。
う。俺の、初めての相手。複雑な感情が渦巻いて、最終的に柄にもなく、胸がキュンとしてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!