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変身
腕の装置から光が、私の周りを不可視のバリアみたいなのが現れ包む。服が電子のノイズの様になって消え、身体が光り目線が高くなる。胸が膨らみ、髪が伸びてツインテールになり、ラバー素材のスーツが現れて私を着飾る。
凄いな、殆ど肌が露出しているんですけれど。最後にアイマスクが私の顔を隠すと、髪の色が黒から金髪に変色した。
「お、おおう」
バリアが無くなり、私の姿を見て驚いているお爺ちゃん。
「変じゃないかしら?」
「よく似合っとるよ。想像以上じゃ」
「これ誰の趣味?」
大人びた感じの声色が、私の口から発せられる。どうやら声帯も変化している。
「怪人達の総意じゃな。金髪、巨乳、ツインテール、女王様、最後に一番重要なJK」
「そう言えば、お母さん達はこの事知ってるの?」
「当然じゃろ。あの二人は元幹部じゃぞ。結婚退職して今は普通の生活しとるだけじゃ」
「じゃあ、この姿はお母さんがモデル?」
「いんや、マリネが将来成長した姿をシミュレートしたモノじゃよ」
「私お母さんみたいに巨乳になるのかぁ。今から運動して、脂肪減らしておこうかな?」
「絶対に止めとくれ。怪人達が哀しみで自殺しかねん。安心せい。肩凝りしないブラジャーを開発済みじゃ。モニターは娘がしとるから、保証はバッチリしゃぞ?」
「最近肩凝りの愚痴していなかったのって、そんな裏話が」
「マリネが幹部になってくれて、本当に助かったわい。断られていたら、明日から求人に載せようと思っておったからな」
「バイト感覚で務まる女幹部って、ある意味最高の環境ね」
「それもそうじゃな。作戦は主に参謀が、兵器開発は技術系の幹部が、戦闘は怪人達がやるからのぅ」
「お飾りで良いんだ」
「怪人達のモチベーションのた為じゃし、良かろう。それよりももうすぐ夕飯じゃないか? 一度変身を解いておきなさい」
「変身時間って、どれくらい?」
「一応、外部からエネルギーを吸収出来る設定じゃが、微量なんで半日が限界じゃのぅ」
「ならこのままでいるわ。お母さん達を驚かせたいし」
「性格は母親譲りの様じゃな」
「お母さんも、こんな感じだったの?」
「バブル崩壊前から、「やーっておしまい!」とか「ムキー、覚えてなさいよー!」なんて結構ノリノリじゃったなぁ。今は昔の写真を誰にも見られん様、金庫に閉まっておるがな」
「お母さんにとっては、黒歴史なんだね」
リビングには変身姿のままで入る。両親が私を見て驚いていた。
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