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作戦
パシーン! パシーン! とムチをしならせ背中に当てる度、響き渡る音が耳に心地良い。
「はふーん! オーイエス!」「じょ、女王様ぁー!」
代わりに怪人達の奇声が耳障りだ。しかしながら、周りを見ると叩かれている怪人を、羨ましそうに見ている怪人が何名か見て取れた。皆んなマゾって訳では無いんだなー。
大分ムチのコントロールに慣れた頃、叩くのを止めもう一度怪人達へ言葉を発する。
「褒美は怪人其々異なる事だろう。希望が有れば叶えてやろう。但し! その見返りはヒーローに勝つ事と知れ。無様な敗北者に褒美は無い。己が力で、見事勝利を収めよ!」
「「「「うおぉー! 女幹部万歳! クイーンヴァロス様、万歳!!」」」」
どうやら怪人達は、やる気をみなぎらせてくれた様だ。
「先に言っておくが、私がお前達と共にヒーロー戦隊と戦うのは、土日だけだ! 平日は作戦会議以外出るつもりはない! 私と一緒に戦いたければ、日々の鍛錬を怠るな。ベストコンディションを、土日に持って来い。映えある初陣を飾りたい者よ、周りの怪人はライバルだ。切磋琢磨し、見事次の戦いに参戦出来る権利を勝ち取れ!!」
「「「「クイーンヴァロス! クイーンヴァロス! クイーンヴァロス!!」」」
「では解散!」
ギラギラと瞳に闘志を宿した怪人達は、各々の場所へと帰って行く。明日からの奮闘ぶりが期待出来そうだ。
「やっぱり、ワシと総帥交代せんか?」
「嫌です、それより作戦会議を始めましょう。幹部達は、もう揃っているのかしら?」
「勿論じゃ、モニター越しでマリネの勇姿を見ていたはずじゃ」
「今みたいなのを、くり返さないでも良さそうね」
私はお爺ちゃんと会議室に向かった。その後会議の結果、満場一致で私の作戦が採用された。良いんだ。
翌朝、何食わぬ顔して学校に通う私。学校の教師にも実は幹部が紛れ込んでおり、敵であるヒーロー戦隊の情報に注意を払っていた。聴けるのはここの所、助っ人の話ばかりみたいだけれど。
「ねえねえ、この間の戦いが動画サイトにアップされてるの見た? 助っ人の〈カシオゼイン〉様が大活躍している場面が、僅か数十メートルしか離れていない所から撮られていて、アップにしても画質が崩れないくらい鮮明に映っているんだよ!」
「へー、昨日は宿題していて気付かなかった。何処の動画サイトなの?」
「知らないの? 最近口コミで広まっている『怪人黙示録』ってサイトの事」
本当は知っています。アップさせたの私だし。
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