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お爺ちゃんが悪の総帥だった件について
「マリネよ。ワシの話を聞いとくれ」
「なぁにお爺ちゃん。そんなに改まって?」
「実はのぅ、ワシ悪の総帥だったりするんじゃ」
「・・・え?」
「最近ヒーロー戦隊に、何か強い助っ人が現れてのぅ。怪人達がボゴボコにされて困っておるんじゃよ」
「それと私に、何が関係あるの?」
「いや、そのな。怪人がブーたれててな、何かやる気出して欲しいなら、女幹部連れて来いってな・・・」
「お母さんにすれば?」
「あ、いや、ピチピチのJKキボンヌ! と言われてての」
「私未だ中学生なんだけれど・・・」
「あ、其処は安心せい。正体がバレないために、変身出来る装置を開発しての。姿が十八歳になる様にしとるんじゃよ。問題はこれの年齢制限が、上下で五歳以内なんじゃよ」
「だからお母さんが駄目なんだ」
「頼む! 怪人達が殺る気になればきっと、ヒーロー戦隊に勝てるはずなんじゃ!!」
「ニュアンスが微妙に違っている気がするけれど・・・その女幹部やる時間は土日だけで良いの? 平日は学校あるからやれないでしょ?」
「おお! やってくれるのか。勿論土日だけで十分じゃ。作戦会議等は一、二時間程度じゃから、平日の夕飯過ぎに行えば、お前も参加出来るじゃろう?」
「宿題手伝ってくれるなら、参加出来なくもないわ」
「安心せい。幹部には講師の資格持ちだっておるよ。お小遣いも時給三万出すぞい!」
「・・・危険手当は?」
「そんなもの敗走時は治療費十万、撃退時なら百万のボーナス付きじゃ!」
「私、悪の女幹部になる!」
お爺ちゃんは小躍りして喜んでいる。最近ちょっと金銭面で困っていたんだよね。私自身が戦う訳でも無さそうだし、良いよね?
「これが変身装置じゃ、早速今夜お披露目してくれんか?」
「解った、使い方教えて」
「腕に付けておくれ。カモフラージュで腕時計に見せかけとるから、普段から付けててくれると助かる」
腕に付けて眺める。一応、女の子向けのカラーでゴテゴテしていないから、趣味は悪くない。
「声紋認証にしとるから、登録してくれんか? 念の為、一度登録したら半年は変えられん様にしとる」
「阿久野マリネ」
『登録しました。これより私のマスターは、貴女様になります。変身されますか?』
「あー、その変身装置な、幹部の一人が某魔砲少女物に出て来るデバイスとやらを真似したくて、人工知能を搭載しとるんじゃ」
「じゃあ、一回変身してみるわ」
『チェンジフォルム、スタンバイ』
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