第4章 始まった不安との戦い

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「あら、ちゃんと起きて来たわね」 リビングに顔を出した橋本穂香に、母が満足そうに微笑んだ。 「うん」 「どうしたのよ?」 「あ、うん。何でもないよ」 生贄投票について、家族に相談をしたいところだけど、どうせまともに取り合ってくれないに決まっている。 「そう? なら良いけど」 母はダイニングチェアーに腰を下ろした穂香の前に、インスタントのレモンティーを置いてくれた。 穂香はそれに対して、お礼を言うこともなく、トーストを手に取ってイチゴのジャムを塗る。 いつもと変わらない朝。 でも、確実にいつもとは違う。 食欲はわかないけど、穂香はトーストにかじりついた。 いつもより早起きなのは、昨夜母に寝坊したら、スマートフォンを取り上げられると言われたからでは決してなく、少しでも早く登校して、クラスメイト達の状況を確認したかったのだ。 中でも特に、須崎拓也とコミュニケーションをはかりたい。 普段食べるのが遅い穂香が、人並のペースで食事を終わらせると、急いで身支度を済ませて学校に向かった。
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