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レスキュー隊の到着を待つ間も時間が惜しいところではあるが、この状況では仕方がない。
由紀夫は今日の捜索を半ば諦めていた。
ただせめて、この崩れた土砂の先、どのくらいの距離で村跡に着くのか知っておきたい。
ここより先にも土砂崩れで道が塞がれているのかどうかも知りたいし……。
「涼花さん、ちょっと」
由紀夫は涼花を呼んで、小声で相談を始める。
「今日の捜索はムリでも、レスキュー隊が到着するまで、もう少し時間があるだろうから、ちょっとこの先の状態を見に行ってみないかい?」
「ああ、確かに……でも」
涼花は美沙希に抱きしめられて号泣している彩絵を気にした。
「由紀ちゃん、それミナトと二人で行ってみてくれない?」
「え? あ、ああ、それはいいけど」
こういう時、涼花なら美奈都に留守番をさせて、自分が行くと思ったのに、意外な答えだった。
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