第4章 始まった不安との戦い

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「そうですかぁ……」 林は残念そうな顔をする。 「それじゃあ他の生徒さんたちにも、聞いてみないといけませんねぇ」 「は、はぁ……」 そう言われても、どう答えれば良いのか分からない。 「誰か心当たりがある人がいれば良いのですけど、いないとなると、しばらくの間みなさんには、ご不便をお掛けすることになってしまいそうです」 「え……っと、それはどういう?」 「そうですねぇ、須崎くんは一日何時間くらいスマートフォンを操作しますか?」 「え? あ、いや、そうですねぇ……三時間くらいですかね」 「ほぉ、橋本さんは?」 「あ、私も……同じくらいです」 「そうですか……。やっぱりスマートフォンが無いと困りますよね?」 林が穂香を見た。 「はい。それはもう、すごく」 「でしょうねぇ……」 「あの……すみません。ちょっと聞いていいですか?」 拓也が恐る恐る質問する。 「はい。何でしょう?」 「もしかして……僕たちのスマホを没収したりしないですよね?」 「没収と言うか……そうですねぇ、証拠品とアクセス解析のために、一時押収ということになると思います」 「えっ、そんな」 「すみませんね」 林は申し訳なさそうな顔をしたが、目は鋭いままだった。
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