第4章 始まった不安との戦い

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竹本美沙希が校門をくぐったのは、遅刻ギリギリの時間だった。 なんせ今朝は、家族全員が寝坊したのだ。 息を切らせながら校舎に飛び込み、二階の教室を目指して階段を駆け上がろうとしたところで、上から降りて来た須崎拓也と橋本穂香の二人とすれ違った。 こんな時間からどこに行くんだろう? 美沙希は二人を見送ると、急いで階段を駆け上がった。 「美沙希!」 教室に入って、はぁはぁと大きく呼吸をしていると、坂上華が大声で名前を呼ぶ。 「はな」 「遅かったじゃん」 「あ、うん。昨日寝るのが遅かったから、今朝ママが寝坊しちゃって」 「美沙希、昨日の夜、全然連絡取れなかったじゃん」」 尾崎美智香が少し怒ったような言い方をする。 「ごめんね。誰に投票すればいいかずっと悩んでて、スマホが使えなかったの」 「何だ。そうだったんだ」 「ごめん」 「いいよ、いいよ」 美智香が顔の前で手を左右に振った。
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