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「このクラスの皆さんのスマートフォンに、突然生贄投票というのが現れたと……そういう情報があるのですが、間違いありませんか?」
田中の質問に対して、お互いの様子を伺っているだけで、誰も答えようとしない。
「どうですか?」
田中は一番前の席の、亀山孝道に聞いた。
「来ました」
亀山は小さな声で答える。
「他の皆さんはどうです? 逆に来てない人は手を上げて」
田中は肘より上を、上に上げた。
「誰も上げないと言うことは、全員来たと言うことですね?」
そう言われて、それぞれが声には出さず頷く。
「そうですか……。どうやら出まかせではなかったようですね」
田中は担任の熊野を見る。
「ええ……でも、何でうちのクラスに」
熊野は不安そうな顔をした。
「さぁ、それは私にも……」
田中は首を振る。
そのとき廊下が騒がしくなった。
複数の足音が、この教室に向かって近づいて来ているようだ。
全員が音のする方向に注目した。
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