第4章 始まった不安との戦い

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「えっ」 「早くしてください」 「えっ、あ、はい」 まどかはペンでシールに名前を書く。 捜査員はすぐにペンとシールを回収すると、シールをまどかのスマートフォンに貼って、持っているバッグに入れた。 「おい、ちょっと待てよ」 まどかの隣の席の、新見利成が文句を言う。 「何でしょう?」 「俺のスマホ、どうすんだよ?」 「全て押収です」 教壇の前の戸田が冷めた口調で答えた。 「そんな勝手なこと、困るよ」 「申し訳ありませんが、これに関しましては、そういう法律に基づいてのことになりますので、如何なる苦情も受け付けかねます」 「ふざけんな! 警察の横暴が許されんのかよ!」 まだ回収されていない田川竜が、後ろの方から怒鳴った。 「横暴と言われましても、我々は職務を遂行しているだけですから」 「これって任意でしょ? 任意の捜査協力なんですよね?」 成績優秀で頭の良い豊川大翔が口を出す。 「いいえ、残念ながらこれは、任意ではなく強制執行です」 「そんな」 「捜査が終わればすぐにお返ししますので、そこに関しましてはご協力お願いします」 戸田は相変わらずの冷めた口調で答えた。
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