第4章 始まった不安との戦い

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「ふざけるな。俺は協力なんかしねぇよ」 田川竜は、スマートフォンをポケットにしまい込む。 それを見ていた後ろの席の者達も、急いでカバンにしまったり、ポケットにしまったりした。 「俺も協力なんかしねぇよ!」 田川とつるんでいる小松雄大も同調する。 「これは困りましたねぇ」 戸田が腕組みをして、ため息を吐いた。 「私も困ります。スマホを持って行くなら、代替え機をくださいよ」 守口美都が立ち上がって文句を言う。 「そうよ。スマホがなかったら困るじゃない!」 美都と仲の良い浜田絵里奈も、美都に続いた。 ――バンッ! 突然戸田が、教卓を両手で思い切り叩いた。 「いいかオマエら、よく聞け!」 戸田は今までの静かな口調から一転、ドスの効いた声を出す。 「これは強制だ。それに従わない者は、すべて公務執行妨害として逮捕する」 「何だと。そんな横暴が許されると思ってるのか!」 田川竜が大声で怒鳴った。
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