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「おいおい、大きな声を出してどうした。廊下まで声が聞こえてるぞ」
穂香と拓也の対応にあたっていた林が、教室に入って来た。
「あ、課長」
「どうだ?」
「今、回収中です」
「そうか」
「ただ、一部の生徒が反抗してましてね」
「ん?」
林は立ち上がっている生徒の方を見る。
「スマホを持って行かれると困るんだよ。どうしてもって言うなら、代替え機を持って来いよ」
田川竜が林に向かって文句を言った。
「なるほど、それは良いアイデアですね。ただ……仮にそうしたとしても、君がそのスマホで登録しているすべてのアプリのアカウントは使用出来ないんだけどね」
「いや、それはそうかもしれないけど、そもそも俺たちは訳の分からないアプリを送り付けられた被害者だぞ。こんな理不尽な扱いはおかしいだろ」
「そうですねぇ……確かにそうかもしれない。でもねぇ、法律でそう決まっている以上、我々はその法律に従うしかないんですよ」
林はゆっくりと田川の方に歩み始めた。
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