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結局、誰も抵抗することなく、渋々警察にスマートフォンを提出した。
「よし、確認しろ」
林の指示で若い捜査員が、クラスの名簿とシールを照らし合わせて、全員のスマートフォンを回収出来たかを確認する。
「あります」
確認作業を済ませた捜査員が、林に答えた。
「それでは皆さん、少しの間ご不便をお掛けしますが、ご了承ください」
本当は全員が、心の中で文句を言っていたが、誰も言葉を発しない。
「よし、引き上げるぞ。それではお邪魔しました」
林は教頭の田中と、担任の熊野に頭を下げると、部下たちを促して教室から出て行った。
「とにかく……何だかよく分からないが、みんないつも通り、授業を受けてください」
担任の熊野が生徒たちに話しかける。
途端に、堰を切ったように、生徒たちが非難の声を上げた。
教頭の田中と担任の熊野が、必死で生徒たちを宥めたところで、一時間目の教科を受け持っている数学教師の松尾が教室に入って来て、ここからはいつも通りの日常が始まった。
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