第4章 始まった不安との戦い

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「いや課長、ちょっと待ってください」 杉浦が軽く手を上げて制する。 「何だ?」 「いや、それはちょっとおかしいです」 「おかしい? 何がだ?」 林が眉を曲げた。 「いや、普通ネット回線って、一家に一回線ですよね?」 「ああ、まぁ、そうだろうな」 「と、いうことはですよ。複数の家族の中で、なぜあのクラスの子のスマートフォンにだけ、生贄投票が現れたんでしょうか?」 「あっ、なるほど……確かにそうだな」 林は腕を組む。 「誰もが使える回線で、特定の一人を狙うと言うのは、おそらく不可能なんじゃないかと」 「そうか……。まぁ、例えばだが、その回線にウイルスを送って、あのクラスのメンバーのラインとか、そういうアプリだけを狙ってとかは、無理なのか?」 「それはないですね」 横から山口が口を挟んだ。 「なぜだ?」 林が山口を見つめる。 「ですから、今まで調べた端末に限ってですが、インストールしているアプリを操作したとか、書き換えたとかも含めて、浸入したような形跡がまったくないんです」 山口は首を横に振った。
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