第5章 地獄の始まりを探して

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松井慎太郎は電話の着信音で目を覚ました。 ベッドから起き上がり、テーブルの上のスマートフォンを手にする。 着信の相手は、社長の山岡涼花だった。 時刻はまだ朝の7時である。 こんなに早い時間に、社長が電話をかけてきたことはない。 いったい何事かと思いながら、電話に出た。 『もしもしアタシ』 「ああ、はい。おはようございます。こんな早くからどうかしましたか?」 『前にアナタのラインのパタンナーの子の兄弟が、探偵をしてるとかって言ってたわよね?』 「え? は、はぁ」 いったい朝から、何の電話なんだこれは? 松井は眉をしかめる。 『誰だっけ?』 「あ、ああ、えっと……中井花枝です」 『ああ、あの子か。花ちゃんね。有難う』 社長はそれだけ言うと、さっさと電話を切ってしまった。 いったい朝から、何なんだ? と、思ったら、またすぐ電話が鳴る。 『ちょっと花ちゃんの電話番号を教えて』 「あ、はい」 松井は訳が分からないまま、中井花枝の電話番号を社長に教えた。
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