458人が本棚に入れています
本棚に追加
松井慎太郎は電話の着信音で目を覚ました。
ベッドから起き上がり、テーブルの上のスマートフォンを手にする。
着信の相手は、社長の山岡涼花だった。
時刻はまだ朝の7時である。
こんなに早い時間に、社長が電話をかけてきたことはない。
いったい何事かと思いながら、電話に出た。
『もしもしアタシ』
「ああ、はい。おはようございます。こんな早くからどうかしましたか?」
『前にアナタのラインのパタンナーの子の兄弟が、探偵をしてるとかって言ってたわよね?』
「え? は、はぁ」
いったい朝から、何の電話なんだこれは?
松井は眉をしかめる。
『誰だっけ?』
「あ、ああ、えっと……中井花枝です」
『ああ、あの子か。花ちゃんね。有難う』
社長はそれだけ言うと、さっさと電話を切ってしまった。
いったい朝から、何なんだ?
と、思ったら、またすぐ電話が鳴る。
『ちょっと花ちゃんの電話番号を教えて』
「あ、はい」
松井は訳が分からないまま、中井花枝の電話番号を社長に教えた。
最初のコメントを投稿しよう!